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ちょっとチラシでも作っとくか、くらいのお気楽感でちょうどいい

よく、クローバ PAGEはマーケティングのツールですかと聞かれます。この質問の真意は、「あんたのとこでサイトを作ったら、我々が何もしなくても勝手にどっかんどっかん集客できるのかね?」という意味です。そう聞かれたらわたしはいやあ、今やSNSもマーケティングのツールですからねえ、などとヘラヘラ適当なことをいってはぐらかしますが、実際はもちろん勝手に集客できるはずがありません。というか大して内容もないのに勝手に集客なんかしていたらそれは間違いなくスパムです。スパム絶対だめ。SEOが強くて助かるといってくださるお客様もいますが、それはうちの努力はせいぜい10%くらいで、90%は間違いなく、サイトに掲載されている内容によるものです。SNSだって、おじさんが今朝はコメダのモーニングで決まりでしょみたいなしょうもないことを毎日つぶやいたって、あまり興味を持たれないでしょう。何がいいたいかというと、クローバ PAGEはマーケティングのツールだといわれれば否定はしないけれど、そういうキリッとしたものよりむしろ商店街の夏祭りで配るようなチラシのようなもの、と思っています。

さらに意味がわからないと思うので説明します。ホームページを単純に集客の道具だと考えてしまうと、やれどういう単語を入れれば検索されやすいとか、どういう写真が目をひくとか、そういうところにばかり目が行きがちです。もちろん見てもらわないことには始まらないので、ある程度集客を考えるのは必要なことではありますが、その結果、「何を掲載したらいいのかわからない」「業者に注文してもっと見栄えのするホームページを作らなければ」となり、見栄えはよくてそれらしいことが書かれているけど結局なにがいいたいかよくわからない楽しくてクールでセクシーみたいなサイトができてしまう。これは作ったほうも見るほうも、あまり嬉しいことではありません。

一方で、商店街の夏祭りで配るチラシはどうでしょう。掲載する内容はもちろん、夏祭りに関することです。それ以外のことを書いても意味はありません。どこで、いつ開催されるのか、どんなお店が出ているのか。サンバのパレードはあるのか。雨天決行なのか。書くことはチラシを作る前からほとんど決まっています。たくさんの人の目を引くために、かっこいいロゴが必要かもしれません。で、チラシができました。3千枚。近所のおばちゃんが挨拶がてらやってきて、チラシを目にします。あら、今年は夏祭りがあるのね。そうなんすよ。ずっとコロナで中止だったから3年ぶりなんですわとかなんとか話しながら、よかったらこれとおばちゃんにチラシを渡します。チラシにはおばちゃんに完璧にわかる言葉で、夏祭りに関する情報が一滴の漏れもなく書かれています。おばちゃんは近所の別のおばちゃんを誘ってみようと、夏祭りのチラシを自転車の前カゴに乗せます。

もしかすると3千枚のチラシがすべて配られることはなかったかもしれません。ひとり100枚ノルマなといわれれてもらったはいいものの、ほとんどは段ボールに入れられたまま10年くらい放置されるかもしれません。そうだとしても、おばちゃんに夏祭りの情報がしっかりと伝わった時点で、チラシの役割は果たすことができたといえます。チラシがなければ、おばちゃんにサンバーのパレードは何時からあるのと聞かれたこの青年会の若者は、いやー、ちょっと親父に聞いときますわといったままバックれていたに違いないからです。つまり、チラシの目的とはひとりでも多くの人に配ることではなく、伝えたい人に、伝えたい情報がきちんと伝わることであり、それはすなわち伝えたい情報が手段ではなく目的として先にあるということでもあります。

うちで作るホームページも同じで、作るときに集客できなきゃとか映えがとか構える必要はまったくなくて、みなさんの活動を紹介するときに、名刺を渡すようにホームページを見せて、何も説明しなくてもなるほど、理解できましたっていってもらえることをひとつの目的にしてもらえたら、嬉しいなというのはあります。なので、会社案内みたいないろんな情報を網羅したサイトではなくて、ひとつのテーマに絞ってサイト(こういうサイトをマイクロサイトと呼びます)のほうが、クローバ PAGEでは作りやすくなっています。マイクロサイトの特徴や作り方はまた別の機会に書いてみたいと思います。

今読んでいただいているこの記事も、ああなんだクローバってチラシみたいなもんなんだって、誰かひとりでも思ってもらえたら、目的は十分達成したことになります。読んでいただいてありがとうございました。

ではまた。